税務調査の後始末いろいろ
税務調査と聞くと、つるし上げをくらう、責め立てられる、金をぶん捕られる、挙句にひょっとしたら逮捕されてしまうイメージがあると思いますが、そんなに怖いものではありません。
話し合いの場を持って、帳簿を確認して、双方の言い訳をふまえたうえで落ち着くところに話が落ち着いて、ズレが出た分の税金を支払って帳尻あわせてはい終了・・・と。
なんだかやっぱり随分温厚な気がします。いや怖いは怖いですけども。
「そもそも帳簿にミスが見つかったら、やたらと責め立てられてイタイイタイ追徴課税を喰らうってイメージがあったんですけど、そのへんどうなんですか?」
「ははは、じゃあそのへんのお金の話をはっきりさせますか」
税務調査を受けた後の後始末として、まず修正申告を行うか税務署からの更正をくらうかの2種類があるというのは述べた通り。中にはまれに調査の結果、誤りがないと認められるラッキーなケースもあり、その場合は「申告是認」となり、申告是認通知書が送付されてきます。いずれにせよこれらの結末をもって「確定」と相成って、じゃあ精算いたしましょうかとなるわけです。
「で、税金の2倍とか3倍とかを召し上げられるわけですよね?」
「んなこたあるわきゃない。いや、脱税で刑事裁判とかになれば別でしょうけども」
普通に帳簿をつけていたのだけど、調査の結果で「あれぇ、これは按分比率おかしくないですか~」とか、そのへんの修正があったとします。経費の額が変わっちゃうので、当然税金は増えることになり、「じゃあ足りない分払ってね~」とあいなります。このときに追加で課せられてしまうのが「過少申告加算税」と「延滞税」のふたつです。
過少申告加算税がいわば罰則的な追加の税金になるのですが、これの額といったら「追加で支払う税額の原則として10%」のみ。だから「バンバンはじかれちゃって、年間の経費が10万円も低くなっちゃったよ~」なんていったって、最低税率の5%なら追加で払う税額は5千円で、過少申告加算税はその10分の1だから5百円のみですむわけです。ちなみにコイツって、調査で見つかっちゃったとかじゃなく、自主的に修正申告した場合には取られません。
「あれ?そんなもんなんですか?あ、わかった、延滞税がえげつないんだ。かなり過去のとこまでさかのぼって、高い利子をぶん捕るとか、そんなのじゃないんですか?」
「そう思いますか?」
延滞税として取られるのは、追加で払う税額に年14.6%を日割り計算した金額です。ただし最初の2か月間は別計算になっていて、「特例基準割合+1%」か、「年7.3%」のうちいずれか低い割合・・・なんて決められています。
しかも申告書を提出している場合、計算期間が1年で止まるんです。だから3年前の帳簿でミスが見つかったとしても、払う利息分は1年分だけですむ。つまりは最大でも追加で払う額の14.6%が上限だってことです。
「ようするにですね、普通に帳簿をつけて、普通にガンガン経費をのっけてって・・・という限り、税務署側と見解の相違が出て「支払なさい」となったところで、せいぜい本来払うはずだった税額の3割増し程度なんですよ。しかも3割増しっていったって、追加分に対して3割増しってだけだから、実質はもっと下ですよね」
たとえば「これは経費で認められるかな~?」と不安になるようなのを10個計上したとします。それぞれ1万円のブツだったとすると、所得税率を5%で考えた場合、これでその年の税金が5千円安くなったことになる。ところが税務署さんがクレームをつけてきて、うち7個がダメ出しされたとしましょう。そうすると、当然その分で浮かせていた税額の3,500円はあらためて払わなきゃいけなくなる。このとき、さらに追加で払えとなるのはいくらかというと・・・。そう、1,050円程度なわけですよ。
「怖いな~とやたら神経質になって、なにも計上してなきゃ5千円納めるはずのとこなんです。でも、とりあえず仕事で使ったことは使ったんだから計上しとけってした場合、たとえ7割がハネられたとしても納める税金は4,550円。ね、もし半分も認めてもらえたりしたら、じゅうぶん得になっちゃう計算なんですよ。そう考えると、しょせん見解の相違に正解なんかないんだから、臆病になるだけ損なんです」
「なるほど~」
ただし、悪質性があると判断された場合、これはちょっと話が違ってきます。
「たとえば所得隠しとか、架空の領収書をでっちあげたとか、完全に個人的なものを経費に入れていたとか、そういう脱税行為に手を染めた場合ですね」
「は、はい・・・どうなるんでしょうか」
「その場合は「過少申告加算税」が「重加算税」に化けちゃって、追加で払う税額が35%上乗せとかになっちゃいます。それにプラス延滞税ですね。この場合の延滞税は1年分で止まりませんので、3年分でも4年分でもドカドカのっかってきます」
「おお~怖い・・・って、あれ?でもそんなもんなんですか?」
「内容によっては刑事罰、罰金や懲役刑が加わるでしょうから、ヒドイ場合はそっちでバランス取るんでしょうな」
「な、なるほど・・・」
※この記事は2023年11月7日に内容を一部修正しております
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